シンガポールの日系企業調査 vol.1 ユニクロ
こんにちは、シンガポールでインターン中のManaです:)
シンガポールにはレストランや小売店をはじめとして、多くの日本企業が進出しています。
しかし、同じ日本企業でも、企業によって、とっている戦略が全く違います!
日本と同じ商品を売っている企業もあれば、日本と全く違う、現地化した商品を売っている企業もあるんです。
なぜ日本と同じモノが売れるのか?売れないのか?
考えてみるととても面白いです!
これからこちらのブログで、「シンガポールの日本企業調査」と題し、シンガポールの日系企業についてレポートしていきます。
本日は第一回目、シンガポールのユニクロについてレポートします!
【概要】
シンガポール店舗数:27店舗
進出年:2009年
客層:30~50代が多めだが、全年代
主要店舗:Orchard Central Store(旗艦店)、ION Orchard Store、Bugis+ Store など
価格:日本より少し高いが、同程度 (下図参照 ホームページをもとに作成しました)
メンズのエアリズム クルーネック半袖
日本 | シンガポール |
¥1,069(税込み) | $14,90(≒¥1,220) |
メンズのヒートテック クルーネック長袖
日本 | シンガポール |
¥1,069(税込み) | $19,90(≒¥1,630) |
【実店舗レビュー】
今回はブギスという地区にあるユニクロ、「Bugis+ Store」に行ってきました!Bugis+というショッピングモールに入っているのでこのような名前になっています。
一階がレディースとキッズ、二階がメンズとなっており、シンガポールの中でも結構大きめのユニクロです!
こちらは二階、メンズ売り場の外観です。
店内に入ってみると、商品自体もそうですし、お店の雰囲気、商品の陳列の仕方や服のたたみ方など、日本そのものです。
接客も日本をコピーしているようで、いらっしゃいませの英語版「Welcome to Uniqlo!」という挨拶が聞こえてきます。
商品構成ですが、夏服中心ではありますが、メンズ・ウィメンズともにひとつの什器は冬服コーナーとなっていました。
この後に書いていく「シンガポール人の声」でも取り上げますが、ユニクロの一番有名なアイテムは、常夏の国シンガポールでも「ヒートテック」のようなんです。
寒い国に旅行に行く時はユニクロ!というイメージも確率できているみたいです。
【日本との違いは?】
ここで一つ、小さい事ですが、日本とシンガポールのユニクロの違いを発見しました。それがこちら、、
商品のタグに、S$14.90とRM39.90というように、値段が二つ書いてあります。
S$というのがシンガポールドル、RMというのがマレーシアリンギットですね。
日本では他国の値段の書いてあるタグはあまり見かけないかと思います。
このように複数国の通貨で値段の書かれているタグは、国を越えた輸出入が容易なヨーロッパのファストファッションのお店では結構見かけます。
一枚のタグに、十か国くらいの通貨で値段が書かれているタグも見かけたことがあります。
こうすることで、各国に分類してタグ付けする必要がなく、大幅なプロセスの省略と時間の短縮が可能です。
ZARAのお洋服の洗濯表示が英語、スペイン語、フランス語、日本語、中国語、、などたくさんの言語で付けられているのは、日本でも見かけますね。
国を越えて統一のものを使用することで、生産プロセスを効率化しています。
シンガポールは特に、とても小さい国ですし、隣国マレーシアと統一の生産ラインに乗せているようです。
【ユニクロの戦略の理由】
このように、シンガポールでも日本とほぼ同じ店舗展開ができているユニクロですが、その理由は何でしょうか?
その答えはユニクロのコンセプト「Made for all」から読み取れるのではないでしょうか。
「Made for all」つまり、「全ての人のために」ですよね。
皆さんも良くご存じの通り、ユニクロの商品はシンプルでベーシック。
着る人を選ばない商品だから、国外でも国内と同じような製品を売ることができるのでしょう!
その他にも、「日本企業・日本製品への信頼」という面もあると思います。
シンガポールにはたくさんの日本製品が売っていますが、パッケージそのままで売っていたり、日本料理のお店が日本語で看板を出していたりします。
これは翻訳していないのではなく、「日本」をアピールしています。
日本のブランドという信頼感や、日本製品は品質が高いというイメージも、ユニクロのシンガポール進出を助けていると考えられます。
【シンガポールの大学生にインタビュー】
さて、わたしたちの持つユニクロのイメージは、「シンプル」「ベーシック」以外にも、「安いけど高品質」「ヒートテック」「エアリズム」などが代表的だと思いますが、シンガポ―ル人の目にはどう映っているのでしょうか?
シンガポール人の友人に、ユニクロのイメージを聞いてみると、このような答えが返ってきました。
ー「あまりおしゃれだとは思わないけど、品質はいいと思うし時々買うよ」
ー「ベーシックなアイテムを買う場所」
ー「ヒートテックは有名で、寒い国に行く時にみんな買ってる!けどエアリズムは、知らない人は知らないと思う」
ー「製品はいいと思うし、今はいている短パンもユニクロのだよ!でも“Welcome to Uniqlo!“の挨拶はweird(変)だよね」
ということで、やはり、安いけど高品質というイメージや、シンプル・ベーシックというイメージはありそうです。
そして常夏の国シンガポールですが、エアリズムよりヒートテックのほうが知名度が高いみたいです!
暑い国なので、もともと涼しい服がたくさんあるから、わざわざエアリズムを買おうと思わないのでしょうか?
もしくは、「インナーを着る」という文化があまりないからかもしれないです。
そして、日本語の「いらっしゃいませ」を(少し無理やり)翻訳した「Welcome to Uniqlo!」は、不自然だと捉えられているみたいですね。一緒に話していた全員が同意していました。笑
しかしこの挨拶も、シンガポール進出から10年たったユニクロの、いわばトレードマーク。ユニクロといえば、というイメージの一つになっていることが分かりました。
このように消費者のイメージに残る何かがあるというのもまた、ユニクロ成功の要因だろうと思います。
現にユニクロは、シンガポールにおいてかなり良いブランドイメージを持たれているのです。
以下はYouGovというマーケットリサーチ会社が公表している、シンガポールのブランドイメージランキングになります。
1 | シンガポール航空 |
2 | WhatsApp(LINEのようなチャットアプリ) |
3 | |
4 | ユニクロ |
5 | YouTube |
6 | |
7 | DBS銀行 |
8 | Apple |
9 | The Straits Times (新聞) |
10 | POSB銀行 |
ユニクロはなんと、4位なんです!
すごくないですか?
YouTubeやFacebook、シンガポールで最も普及・信頼されているDBS銀行、さらにはAppleをも押しのけての4位です。
有名人を使った広告が功を奏したのか、日本のブランドというイメージが助けているのか、、
ここまでのブランドイメージを確立しているのは本当にすごいですね。
【ユニクロシンガポールの時給は?】
シンガポールって物価の高いイメージだし、バイトの時給も高そう、、と思っていませんか?
以下はユニクロの時給を日本と比較した表になります。
東京都のユニクロ | 1,050円 |
鹿児島県のユニクロ | 850円 |
シンガポールのユニクロ | 約615円($7.5) |
(最低賃金の最も高い東京都と最も低い鹿児島県を比較対象にしています)
シンガポール、断トツに安いです。
これには大きく二つの理由があるかなと思います。
一つは、「実は大して物価が高くない」
もう一つは「最低賃金がない」
この二つ、わたしもシンガポールに来て初めて知り、とっても驚きました。
シンガポールでお昼ご飯を食べると、大体$6~7(約500円~600円)なんですね。安かったら$2.5(約200円)くらいでチキンライスなど売っていて、お腹いっぱいになれちゃいます。
電車もとても安く、10駅くらい乗っても$1.5(約120円)くらいです。
安い!
また最低賃金のことは、シンガポール人の友人と話していて聞きました。
「なんで最低賃金無いの?」と聞くと、
「Singapore doesn’t need unskilled labor」と。シンガポールでは、能力のある人にはお金を払うけど、そうじゃない人には払わない、というバッサリとした感じです。
これもまた違う記事で書こうかなと思いますが、シンガポールは本当に「能力重視」な社会だと思います。
アジアトップの大学がシンガポールにあるのも、こういった文化が背景にあるのかも?
少し話がそれましたが、「物価が安い」「最低賃金がない」国の、シンガポール。
こういった理由で、ユニクロシンガポールの時給は日本と比べてだいぶ低いです。
またホームページを見ると、
- Minimum of 20 hours per week
と書いてあります。「週に最低20時間は働いてください」ということです。
20時間って、大学一年生・二年生など、授業の詰まっている学生には結構厳しい設定かなと思います。
こういった「最低勤務時間」を設定しているお店は多く、シンガポールの大学生にはアルバイトをしていない学生も多いです。
日本とシンガポールのアルバイト事情、結構違います!
【まとめ】
長くなりましたが、この記事では、
- ユニクロシンガポールの概要
- 店舗レビュー
- 日本との違い
- 日本と同じ戦略が取れた理由
- ユニクロのイメージ
- アルバイト事情
について書かせて頂きました!
このような感じで、今後もシンガポールの日本企業について書いていきますので、興味のある方はぜひ読んでくださいね。
以上で、シンガポールのユニクロレポートを終わります!
【参照元】
この記事を書いたのは・・・
-
「マナのインターン日記」
日本の大学では国際経営学を学んでいます。大学を休学して弊社(シンガポール留学支援センター)で半年間のインターンシップに挑戦します。
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